秋風が吹いてきた。
もう夏も終わりだ。
人は、無垢な魂をもって生まれる。
年をとるというのは残酷なことだ。
綺麗に年をとるというのは難しい。
いつの間にか、老醜をさらすことになる。
何が、人を変えるのだろう。
際限のない欲望。快楽。嫉妬。憎悪。
寂しさだろうか。
憎しみだけが人を変えるわけではない。
時には、愛すら人を変えてしまう。
愛されたいと思うからだろうか。
誘惑に負けた時、人は、変わってしまうのか。
追いつめられるからか。
困窮すると、人は、我を忘れてしまう。
執着するからか。
それは人間の業か。
悪い友人に、誘われ、そそのかされたからか。
いやいや、自分に負けるからだ。
元々、悪だというのか。
挫折した経験か。
最初についた嘘か。過ちがそうさせるのか。
正しいと思っていたことが間違っていたと気がついた時、
人は岐路に立つ。
自分が許せるか。
何が、人を変えてしまうのだ。
恩ある人に頼まれたからか。
ことわる勇気が持てないからか。
自分が弱い性なのか。
力に屈した時か。
卑屈になったからか。
他人が皆、我より偉く見えた時か。
なぜか、自分だけが不幸に見えるからか。
有名になりたいからか。
人に勝ちたいからか。
人に騙されたからか。
自暴自棄になった時。
嫌気がさした時。
虚しくなった時。
自分の期待が裏切られたからか。
激情にかられて分別をなくすからか。
なぜ、人は変わっていくのか。
豊かになれば、成功すれば、人は変わらずにいられか。
そうとは限らない。
豊かさや、成功は、時に、人を傲慢にする。
傲慢になると人は確かに変わる。
ならばなぜ、人は傲慢になるのか。
なぜ自分を抑えられなくなるのか。
我慢ならなくなるのか。
子供の瞳は無垢だ。
その瞳の映る自分の姿は、嘘偽りのない自分だ。
何ものをも正当化しやしない。
あるのは、赤裸々な真実の姿だ。
何が、人を変えてしまうのだろうか。
引き返しようのない時の流れの狭間で、
フト、後ろを振り返る。
そこには、純真無垢な頃の私が居る。
無邪気に私が笑っている。
愛。